こんな方におすすめ!
- 薬理学を学び始めの薬学2~3年生
- 薬学部1年の有機化学でIUPAC命名法を学習中の方
- 実習前の薬学4-5年生
- CBT対策中の薬学部4年生、国家試験対策中の6年生
薬の一般名と商品名の覚え方を紹介!
薬理学覚える事沢山ありますよね・・・💦
筆者も大学で薬理を勉強し始めた時はそうでした。専門用語とカタカナ羅列のオンパレード。 薬学部の1年生の有機化学で初期に学ぶIUPAC命名法や化合物の慣用名。せっかく化学で学んだので薬理の暗記に活用してみませんか?
今回はプロトンポンプ阻害薬。こちらの名前の由来を化学構造の観点からご紹介しようかと思います!
名前の由来は化学構造から!
プロトンポンプ阻害薬は胃の壁細胞に存在するプロトンポンプを阻害する事で胃酸分泌抑制作用を示す薬剤になります。
ステムは作用点と構造から

プロトンポンプ阻害薬の構造上の共通点としてベンズイミダゾール構造がある事が挙げられます。そして作用点であるプロトンポンプ。この二つの英語スペルがステムの由来になっています。

プロトンポンプ(Proton pump)とベンズイミダゾール(Benzimidazole)より
ステムはprazoleになっています。


オメプラゾールの薬効発現までの反応機構です。
①胃酸による活性化 ②チオエーテル構造の形成 ③酵素(プロトンポンプ)とのジスルフィド結合形成
の順で反応が進行します。薬物が結合したプロトンポンプは活性を失います。これらがPPIが胃酸分泌抑制作用を示すまでの反応機構になります。

このように、PPIの薬効発現には胃酸による活性化が必要です。この為、胃内のpH環境にによっては薬効の発現にバラつきが出てしまうデメリットがあります。
これ以外にも第一世代のPPIはCYP2C19の遺伝子多型による個人差が懸念されます。
このようなデメリットがある事を把握しておく必要があるでしょう。
各種PPIの一般名の由来は化学構造+ステムから
オメプラゾール(S体: エソメプラゾール) ※S体はCYP2C19の影響低


methoxy より o
methyl基より me
ステムより prazole
→合わせて omeprazole となりました。
エソメプラゾールはオメプラゾールのキラルスイッチングによってS体のみを抽出した製剤です。
オメプラゾールは、CYP2C19による代謝寄与度が94%と高いです。これによって以下のような欠点がありました。
- 遺伝子多型の影響を受けやすい。(薬効発現に個人差が生じる)
→日本人の約20%はCYP2C19がPM。 - クロピドグレルとの併用でクロピドグレルの抗血小板作用減弱
→クロピドグレルはCYP2C19による代謝活性化が薬効発現に必須。
対してエソメプラゾールのCYP2C19寄与度は27%程度です。この為上記のような欠点が克服されています。

ランソプラゾール


trifluoro-ethanol より lan
sulufoxide 基より so
ステムより prazole
→合わせて lansoprazole となりました。
ラベプラゾール


propanol より ra
benzimidazole 基より be
ステムより prazole
→合わせて rabeprazole となりました。
P-CAB
ボノプラザン

P-CABはPPIの共通構造であったベンズイミダゾール構造が含まれません。また、PPIとは異なる反応機構でプロトンポンプを阻害します。PPIは酸による活性化が必要ですがP-CABはそのまま作用します。この為薬効発現に胃内pHの影響を受けづらいと言われています。
オマケ 先発品名の由来も見てみよう!(実習対策に)
オマケコーナーとして先発品名にも触れてみます!というのも実習先では・・・
実習での調剤中・・・・

○○君(さん)
タケプロンって何の薬ですか?

タケプロン??????
商品名だよな、何の薬なの・・・
せめて成分名が分かれば!

因みに余談ですが
実習中指導薬剤師の先生から
「○○は何の薬ですか?」って聞かれる事非常に多かったです。
なーんて事が非常に良く起こりました。ですので商品名の由来も見てみましょう!
一般名 | 先発品名 |
---|---|
オメプラゾール | オメプラール/オメプラゾン |
エソメプラゾール | ネキシウム(第二世代PPI) |
ランソプラゾール | タケプロン |
ラベプラゾール | パリエット(第二世代PPI) |
ボノプラザン | タケキャブ(P-CAB) |
オメプラール(オメプラゾール)

本剤の有効成分であるオメプラゾール omeprazole に由来して、オメプラール® Omepral® と命名されました。

殆ど成分名そのものですね!
ネキシウム(エソメプラゾール)

次世代のプロトンポンプ阻害薬という意味を込めて、次世代 next millennium に由来して、ネキシウム® NEXIUM® と命名されました。

エソメプラゾール及びラベプラゾールは第二世代PPIに分類されます。
第一世代の物に比べて遺伝子多型による個人差の影響を受けづらい事が挙げられます。代謝経路と化学構造を比較してみましょう
タケプロン(ランソプラゾール)

カリウムイオンと競合することで酸分泌抑制作用を発揮することから、製造販売元である武田薬品工業(株)の社名と薬理作用を表した Proton Pump Inhibitor より、タケプロン® Takepron® と命名されました。
パリエット(ラベプラゾール)

本剤の標的が壁細胞であることから、壁細胞 parietal cell に由来して、パリエット® Pariet® と命名されました。
開発メーカー名と作用機序から命名されたタケキャブ

タケキャブですが、
こちらは一般名「ボノプラザン」です。
カリウムイオンと競合することで酸分泌抑制作用を発揮することから、製造販売元である武田薬品工業(株)の社名と薬理作用を表した Proton Pump Inhibitor より、タケプロン® Takepron® と命名されました。
名前以外はご自身で調べてみましょう!
本記事には商品名の由来まで示しました。おそらくこれを読んだ方は

確か一般名ランソプラゾールだよね!
注意点は~
と商品名と一般名を結び付けて理解する事は出来たはずです!
あとは上記の質問に対してどの様に答えるかなど考えておくのが良いかと思います!
参考ですが着眼点だけここに示しておきます
- 作用機序はどんな感じだっけ?
- 一般的な用法用量ってどれくらいだっけ?
- 併用してはいけない薬はどんなものがありますか?
- 患者さんへの説明は?
→新規処方の場合と継続処方の場合でそれぞれ考えてみると良いかな? - これらの薬飲んでる患者さんってどんな悩みがあると思いますか?
- 他の薬剤の副作用予防として用いられる事もあります。PPIが必要になる副作用を起こす薬ってどんなものがありますか?
- 適応症による処方日数上限の違いは?
参考文系
医薬品の一般名の由来や開発エピソードに関する情報が盛りだくさんの図鑑です。もっと詳しく知りたい方には是非おすすめです!
薬理学は薬学部全学年について回る科目なので薬学生全般に凄くおすすめですが、特に1~2年生には是非読んで貰いたい一冊になります!それは有機化学でIUPACを学んでから日が浅い内に読むことでその後の時期で学ぶであろう薬理学に直接繋げて行く事が出来るようになるからです。
興味ある方は是非大学図書館や書店に足を運んでみてはいかがでしょう!
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