こんな方におすすめ!
- 薬理学を学び始めの薬学2~3年生
- 薬学部1年の有機化学でIUPAC命名法を学習中の方
- 実習前の薬学4-5年生
- CBT対策中の薬学部4年生、国家試験対策中の6年生
薬の一般名と商品名の覚え方を紹介!
薬理学覚える事沢山ありますよね・・・💦
筆者も大学で薬理を勉強し始めた時はそうでした。専門用語とカタカナ羅列のオンパレード。
薬学部の1年生の有機化学で初期に学ぶIUPAC命名法や化合物の慣用名。せっかく化学で学んだので薬理の暗記に活用してみませんか?
今回は抗血小板薬。こちらの名前の由来を化学構造や薬効の観点からご紹介しようかと思います!
ADP受容体拮抗薬についてそれぞれ紹介したいかと思います。
名前の由来は化学構造から!
血小板凝集抑制薬のステムとして「-grel」
血小板の凝集抑制薬(platelet agregation inhibitor)
血小板は活性化すると損傷部位に凝集し止血作用を発揮します。抗血小板薬は血小板の凝集能を低下させることで血小板性血栓の形成を防ぐ薬剤です。
血小板凝集抑制作用は英語で
platelet agregation inhibitor
と表現されます。ここから抜き出したアルファベット「-grel」が抗血小板薬のステムになりました。
※ADP拮抗薬以外の抗血小板薬では名前にステムが含まれないものもあります。
ex) シロスタゾール(PDE阻害薬)
ジピリダモール(PDE阻害薬)
アスピリン(COX阻害薬)
ADP拮抗薬の分類
化学構造+ステムによる命名
チクロピジン
thio(硫黄)より ti
chloro(塩素)より clo
pyridineより pidine
→合わせて thiclopidine となりました。
クロピドグレル
chloro(塩素)より clo
pyridineより pid
acetoxy基より o
ステムより grel
→合わせて clopidogrel となりました。
プラスグレル
cyclopropylより pr
acetoxyより a
sulferより su
ステムより grel
→合わせて prasugrel となりました。
プラスグレルはクロピドグレルが持つ問題点を改良した薬剤です。これによって早くかつ確実な作用が期待できる薬剤になっています。まさに名前に恥じない薬剤であると言えるでしょう。
プラスグレルとクロピドグレルの違いについては、有機化学のケトエノール互変異性で説明出来ます!
以下の記事に詳しい内容がありますので興味ある方は是非こちらもよろしくお願いします!
チカグレロル
triazoleより ti
cyclopentanより ca
ステムより grel
fluoloより ol
→合わせて ticagrelol となりました。
オマケ 先発品名の由来も見てみよう!(実習対策に)
オマケコーナーとして先発品名にも触れてみます!というのも実習先では・・・
実習での調剤中・・・・
○○君(さん)
プラビックスの術前休薬期間はどれくらいですか??
プラビックス??????
商品名だよな、何の薬なの・・・
せめて成分名が分かれば!
因みに余談ですが
今回のように、商品名が分かっている事前提で薬の細かい内容を聞かれる事もありました。
なーんて事が非常に良く起こりました。ですので商品名の由来も見てみましょう!
一般名 | 先発品名 |
---|---|
チクロピジン | パナルジン |
クロピドグレル | プラビックス |
プラスグレル | エフィエント |
チカグレロル | ブリリンタ |
パナルジン(チクロピジン)
幅広さを表す pan と本剤の有効成分であるチクロピジン ticlopidine より、パナルジン® Panaldine® と命名された。
幅広いってどういう事ですか?????
ここからは仮説になりますが、血小板機能抑制をターゲットとして開発された初めての抗血小板薬です。
ADP、コラーゲン、アラキドン酸、トロンボキサン A2、トロンビンなどの凝集誘導剤による血小板凝集反応および血小板の粘着能を抑え、幅広い抗血小板スペクトルを持つとされています。
このことから「幅広い」を意味するpanが来ているのでしょう。
ありがとうございます!
プラビックス(クロピドグレル)
プラビックスの正式な名前の由来は存在しません。ですので筆者考察になりますが、おそらく血小板(英: platelet)から来ているのではないかと考えています。
エフィエント(プラスグレル)
確実な効果が期待できることから、効果 efficacy と確実 consistent より、エフィエント® EFIENT® と命名されました。
ブリリンタ(チカグレロル)
優れた抗血小板効果が期待できることから、優れた brilliant と抗血小板 antiplatelet より、ブリリンタ® BRILINTA® と命名されました
名前以外はご自身で調べてみましょう!
本記事には商品名の由来まで示しました。おそらくこれを読んだ方は
確か一般名クロピドグレルだよね!
注意点は~
と商品名と一般名を結び付けて理解する事は出来たはずです!
あとは上記の質問に対してどの様に答えるかなど考えておくのが良いかと思います!
参考ですが着眼点だけここに示しておきます
- 作用機序はどんな感じだっけ?
- 一般的な用法用量ってどれくらいだっけ?
- 作用時間はどれくらい?副作用出やすい時間帯とかあるのかな?
- 併用してはいけない薬はどんなものがありますか?
- 患者さんへの説明は?
→新規処方の場合と継続処方の場合でそれぞれ考えてみると良いかと - これらの薬飲んでる患者さんってどんな悩みがあると思いますか?
- 術前の休薬期間はどれくらいですか?
→出血リスクの高い手術とそうでない手術で違いはありますか?
参考文系
医薬品の一般名の由来や開発エピソードに関する情報が盛りだくさんの図鑑です。もっと詳しく知りたい方には是非おすすめです!
薬理学は薬学部全学年について回る科目なので薬学生全般に凄くおすすめですが、特に1~2年生には是非読んで貰いたい一冊になります!それは有機化学でIUPACを学んでから日が浅い内に読むことでその後の時期で学ぶであろう薬理学に直接繋げて行く事が出来るようになるからです。
興味ある方は是非大学図書館や書店に足を運んでみてはいかがでしょう!
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