ヤクジツ|109回薬剤師国家試験を終えて・6年次の過ごし方と、薬学生生活で意識しておきたいこと

国家試験

対象読者

  • 薬学生
  • 学年別に見出しを分けましたので自信の状態に合うところからお読み頂ければと思います。
    →1ページ目 6年生向け 2ページ目 全学年向け

はじめに

 こんにちは。今回の記事では、109回国家試験を受験した感想と、これまで取り組んで来てよかった事、今後の出題傾向の予想などの考えをお伝え出来ればと考えています。

 1ページ目のでは、6年次の具体的なスケジュールや取り組んでいた事について振り返ります。

 対して2ページ目では、薬学部生活全般に目を向け、6年生になるまでに考えていた事や力を入れていた事に触れたいかと思います。ですので2ページ目は少し抽象的な内容になります。

109回の感想

  • 本質的な理解が問われている(丸暗記NG)。
  • 問題文の情報量が多い。
  • 多角的、多科目的視点を持つと優位に戦える。

6年次の学習計画(新6年生向け情報)

まず初めに、6年が始まった際に立てた計画を振り返っていきたいと思います。

4-5月 隙間時間で必須問題10年分、全体像を身に付ける

 この時期は、研究や就活によりまとまった時間がなかなか取れなかったです。このため電車での移動中や、待ち時間などにひたすら必須問題を解いています。習うより慣れよ精神で解きまくっていきます。 

 必須問題は、理解というよりも知っているか知らないか?的な側面が強い為より多くの問題に触れて知識を増やしていく事が非常に重要になります。

 erecの過去問出題アプリを利用し、1日に1年分を3週(1週あたり約30-45分)行い、10日で10年分解きます。4月~5月半ばまでの約40日に渡りこれを繰り返していたので、必須問題だけで見ると1年あたり12週解いた事になります。

5-6月 理論問題を通して理解を深め、思考力を高める

 5月の半ばからは理論問題に着手します。一気に難易度が上がるので必須のような高速周回は困難です。理論を学習する際に意識した事は2つあります。1つは、一つ一つの選択肢を吟味し縦に掘り下げる事、もう一つは他科目からの視点を大切にする事です。

 選択肢の掘り下げについては、間違っている選択肢は何処が違うのか?どの様な記述であれば正解なのか?を考える事です。

 そして、正解の記述に対して抽象化(複数記述複数科目における共通点の言語化)を行い穴を埋める。 

 具体化(1つの記述に対して、臨床レベル、生物学レベル、有機化学レベル、物理レベルなで掘り下げ)を行いより知識を深める。等を行う事が重要になります。

少し具体例を示します(109回 問題160 薬理 理論問題)

答えは2,5です。

試しに、選択肢1の内容を具体化し疑問点を言語化してみます。

理論問題 具体化

 具体化を行う際は、縦の掘り下げを意識します。この時のポイントは、複数科目・視点からの掘り下げです。

 まず、基礎科学的な観点から考えると、メチルドパの構造は?アドレナリン受容体との結合様式は?α2受容体とは?α2受容体の主なリガンドは?結合した際の細胞内シグナルは?

 臨床的な観点からは、メチルドパ(アルドメット錠)の適応、効果効能、使用目的、使用上の注意点など情報を整理しておく必要があります。 

 また、社会や法規的な観点からは薬価はいくらか?、用いられる疾患の治療に要する医療費はどれくらいか?添付文書通りの使用に於いて薬剤料をどの様に算出するか?などが考えるべき事になります。

理論問題 抽象化

 抽象化を行う際は、横の繋がりを意識します。この時のポイントは共通点と相違点、そして階層化です。

 例えば、メチルドパ同様にα2刺激作用を有する薬剤として、クロニジン、チザニジン、ブリモニジン等があります。

 構造的な共通点はあるのか?体内動態の違いは?投与経路の違いは?適応症はそれぞれ何か?などの視点から比較をしていきます。

 これが、共通点と相違点の明確化です。しかし、これでは無限に比較対象が増えていってしまい情報が混乱しやすいです。ここで必要になるのが、情報の階層化による調査範囲の明確化です。

 上記の比較は、「アドレナリンα2受容体刺激作用のある薬剤」という範囲を決めて比較を行いました

 ①自律神経薬→②交感神経作用薬→③α2受容体刺激薬と言った形になります。①の階層で考えると、自律神経作動薬には交感神経に作用する薬剤と副交感神経に作用する薬剤があります。これらについて共通点と相違点を比較します。

 理論問題を解いた際は、必ず階層化を行うようにして、自身の知識習得の状況など優先順位に応じてどの階層レベルで抽象化を行うか決めるようにしていました。抽象化はものによっては時間がとられるため、時間がない時は階層化のみを行い週末など少し時間的余裕がある際にその階層内での共通点・相違点探しを行っておりました。

7-8月 実践問題を通して「臨床」から「基礎科学」を引っ張り出す

 実践問題では、臨床から基礎を引っ張りだす事を意識して取り組んでいました。別記事での紹介内容と被ってしまいますが、近年の国家試験は実際の薬剤師業務を基礎科目の「物理・化学・生物」の理論的な内容に落とし込むような出題が増えています

 そして、109回の国家試験でもこの傾向が顕著な上、これまでよりも情報量が多くなり、より精密に関連知識を引っ張って来る能力が要求されました。

109回(200-201)

  • 尿の着色について患者さんから相談があり薬剤師が対応するシチュエーション。着色の理由を成分の可視光線吸収の観点から考えさせる出題。(物理) 104回 問203
  • インフルエンザの検査キットに関して、抗体と抗原の仕組みについて考えさせる問題(生物) 103回 204 205
  • PPI(ラベプラゾール)の粉砕不可能の理由に関する問題。酸性条件下での薬剤の構造変化による薬効発現と、その反応機構を考えさせる出題 (化学) 105回 206 207

 しかしこれは裏を返すと、今後薬剤師として実務をこなしていく上での武器の一つになると考えています。

 臨床的な問題点に対して調査を行う際に、必ずと言って良いほど登場する生物、化学的用語。そして薬剤の保管条件や取り扱いを調べる時に出てくる物理的用語。

服薬指導や副作用モニタリングと言った対人技術が「薬剤師としての実践力・問題解決力」になるのに対して、これら基礎科学の知識は「薬剤師としての基礎体力」になっていくと考えています。

5年生以下の方は2ページ目も是非ご覧ください!

次ページでは、6年生になるまでの勉強への向き合い方に触れていきます。

 その前に一言お伝えします。薬学部ではテスト、実験、レポートとやらなければいけないことが多いです。

 どうせやるなら、中途半端に課題をこなすだけで無く、自身の能力の向上に繋げたくはありませんか?少しでもご共感頂けた方は次ページに進んでいただけると幸いです。

筆者
ヤクハク職員
itpharmacy1212

1年目薬剤師|学びを通して健康という価値を提供できる薬剤師を目指す|プログラミング経験|どんな分野の学びも必ず関連性がある|薬学、IT問わず学んだ事を発信してきます!| 基本情報技術者保有。|薬学部の勉強って楽しい!|「楽しく」「人を巻き込みながら」学ぶ|当たり前の学びをハイレベルに取り組もう|関わる相手のプロであれ

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